食品の生産、処理、加工、流通、販売といった食品や食品に関する情報を各段階で記録していく取り組みの事。
これにより、もし食品に問題が生じても原因究明・商品回収などバーコード、伝票、ICタグ等の記録から照合する事によって対処がカンタンになる。
具体的には「産地生産記録、産地出荷記録、製造仕入れ記録、製造加工記録、製造出荷記録、流通仕入れ記録、流通取扱い記録、流通出荷記録、小売り仕入れ記録、小売り販売記録」といった情報が記録されている。
消費者にとっては何処の業者・産地から流通してきたものなのかが明らかになる為にメリットも出てくる(商品に対する信頼性といった面で)。
トレーサビリティはBSE問題で危険部位(狂牛病に罹ると危険視されている部分)の混入について「調査不能」等と発表された事から動きが強まった。追跡不能になると商品回収が不十分であったり、問題となっている事業所(産地なのか、流通経路でダメージを受けたのか分からない)の判断が困難になってしまう。
トレーサビリティの導入状況として、農林水産省の統計「平成17年度食品産業動向調査結果」の発表によれば、
平成18年1月1日現在で、トレーサビリティ・システムを導入している企業(「すべての食品(製品)」又は「一部の食品(製品)」に導入)は、食品製造業で37.9% (前年に比べ3.5ポイント上昇)、食品卸売業で36.8%(同0.4ポイント上昇)、食品小売業で35.8%(同7.3ポイント上昇)となっており、食品小売業の導入率がかなり上昇したことから各業種とも同水準となった。
特に食品小売業では平成15→16→17年で、「全ての食品に」 トレーサビリティを導入した事業所は6.4%→11.2%→14.8%と拡大が続いている。
JAS法(JAS=日本農林規格)では生鮮食品に対して原産地表示を義務づけているが、加工食品に対しては8品目(漬け物、冷凍食品、塩干魚類、塩蔵魚類、塩蔵わかめ、乾燥わかめ、ウナギ加工品、カツオの削り節)に限定していた。
加工食品といっても、あまり手を加えない場合は原産地によって品質が大きく異なる場合もあるとして対象となる加工食品を平成16年に拡大。JAS協会では施行移行期間は約2年として、平成16年9月14日に「加工食品の原料原産地表示」を改正。品目は下記の通り
社団法人 日本農林規格協会(JAS協会)より
農産物加工食品 1乾燥きのこ類、乾燥野菜及び乾燥果実
(フレーク状又は粉末状にしたものを除く。) 2塩蔵したきのこ類、塩蔵野菜及び塩蔵果実
(農産物漬物品質表示基準第2条に規定する農産物漬物を除く。) 3ゆで、又は蒸したきのこ類、野菜及び豆類並びにあん
(缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く。) 4異種混合したカット野菜、異種混合したカット果実、その他野菜、果実及びきのこ類を異種混合したもの
(切断せずに詰め合わせたものを除く。) 5緑茶 6もち 7いりさや落花生、いり落花生及びいり豆類 8こんにゃく 畜産物加工食品 9調理した食肉
(加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するものを除く。) 10ゆで、又は蒸した食肉及び食用鳥卵
(缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く。) 11表面をあぶった食肉 12フライ種として衣をつけた食肉
(加熱処理したもの及び調理冷凍食品に該当するものを除く。) 13合挽肉その他異種混合した食肉
(肉塊又は挽肉を容器に詰め、成形したものを含む。)水産物加工食品 14素干魚介類、塩干魚介類、煮干魚介類及びこんぶ、干のり、焼きのりその他干した海藻類
(細切若しくは細刻したもの又は粉末状にしたものを除く。) 15塩蔵魚介類及び塩蔵海藻類 16調味した魚介類及び海藻類
(加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するもの並びに缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く。) 17ゆで、又は蒸した魚介類及び海藻類
(缶詰、瓶詰及びレトルトパウチ食品に該当するものを除く。 ) 18表面をあぶった魚介類 19フライ種として衣をつけた魚介類
(加熱調理したもの及び調理冷凍食品に該当するものを除く。)農畜水産物加工食品 204又は13に掲げるもののほか、生鮮食品を異種混合したもの
(切断せずに詰め合わせたものを除く。)
ポイントは…
加工食品の原材料のうち、重量の割合が50%以上を占める原材料(主な原材料)について、
その原産地を表示することが義務づけられます
という所。
つまり原材料の49%(殆ど半分)ならば、原産地の表記は不要と解釈できてしまう。極端なケースだと「国産 冷凍ミックス野菜」とあっても、国産は重量比で51%までしか入ってないかも知れない。
農林水産省の報告書(平成18年6月19日)からは50%の基準については変更なし(→農林水産省 報告書ページ)、との記載がある。
食品衛生法により2001年4月に義務づけられた。
アレルギー症状・過敏症のうち重大な健康被害(血圧低下、呼吸困難、意識障害)が予測される5品目「小麦、そば、卵、乳、落花生」は義務付けられており、表示の推奨を行っているのは「アワビ、イカ、イクラ、エビ、オレンジ、かに、キウイ、牛肉、クルミ、鮭、サバ、大豆、鶏肉、バナナ」、平成16年12月24日には「豚肉、マツタケ、モモ、やまいも、りんご、ゼラチン」も追加されて20品目。
「原材料に含まれていたら」だけでなく「流通過程の食品」にも義務づけられている。
原材料の製造、加工の過程、加工用に一時的に使用した(加工後に除去されるとしても)場合や、何から抽出した物(〜エキス 〜抽出物 〜由来 とか)でも表示義務がある。
表示は)「そばを使用した設備で製造しています」「本品製造工場ではそばを含む製品を生産しています」のような断定した表現でなければならないが、運搬容器や、容器包装の面積が30センチ平方メートル以下のものについての表示等は省略が出来る(厚生労働省医薬局食品保健部 アレルギー物質を含む食品に関する表示について)。
遺伝子組み換え食品(GM作物)を用いる事で、虫害、農薬、天候等に対して通常作物よりも強い対抗能力を持つことが出来る。
日本以外では遺伝子組み換え作物の研究開発・運用は活発。特にバイオエタノールに使用される作物は燃料行きなので躊躇無く遺伝子組み換え作物に切り替わる動きが強い。
下記は産経ニュース「正論」
2007.10.29 「遺伝子組み換え作物”中国進む技術開発 コメ商業栽培もう一歩」より。
http://www.sankei.co.jp/seiron/wnews/0710/web-news1029-1.html
中国で、遺伝子組み換え作物の栽培が拡大している。現在のところ、害虫に強い遺伝子組み換え綿が中心。主要穀物であるコメについても、試験栽培が終わり、商業栽培までもう一歩のところにきている。このほど来日した中国科学院・中国農業政策センターの黄季焜(こうきこん)所長は「組み換え技術は食糧や環境問題に対処するため重要性を増している」と話している。(杉浦美香)
遺伝子組み換え作物は1996年に、米国で除草剤に強い大豆の商業栽培が始まって以来、世界各国に広がり、2006年にはブラジルやカナダなど22カ国で栽培。中国では1986年ごろから、遺伝子組み換え技術の研究に力を入れ、栽培面積は360万ヘクタールで世界第6位。そのほとんどが綿の栽培だ。これにより綿農家の農薬使用量が減り、収益増加にもつながったという。
中国の組み換え技術研究予算は年々増加、2003年には約2億ドル(228億円、家畜研究も含む)にのぼった。組み換え技術研究の最先端である米国に留学した研究者の帰国を促進するなどして、自国の技術開発に取り組んでいる。当初、米国の技術を使った組み換え綿の種子を使用していたが、現在では自国の技術による種子で大半を栽培。綿以外の栽培量はわずかだが、ペチュニア、パパイアなど6作物176品種が商品栽培の認可を受けている。
主食であるコメの研究は約20年前から始まった。02〜04年には湖北省と福建省で大規模試験栽培を実施。翌05年には商品栽培が認可されると予測されていたが、今のところ認可には至っていない。
ただ、実際には試験栽培の組み換え米が市場に流通し、欧州や日本でも、ビーフンなどのコメ加工品に見つかり、問題になった。
また、水不足に悩む中国は干魃(かんばつ)対策として水の量が少なくてすむコメなどの作物開発に力をいれているほか、バイオエタノールに加工しやすい草の研究にも着手している。
黄所長は「干魃対応の作物開発は地球温暖化が進む中、食糧の安全保障の観点で重要だ。開発は難しく、海外の技術を導入すれば早期に実現するが、外国の技術だけに頼ることは何かあれば国益を脅かすことにつながりかねない。自国の技術開発が課題だ」としている。
一方、日本では、他の種への影響やアレルギーなどを懸念する消費者の反発を恐れ、組み換え作物の商業栽培は行われず、実用化では大きく出遅れている。
農業生物資源研究所の田部井豊氏は「お隣の中国の遺伝子組み換え技術開発状況に焦りを感じる。試験栽培も難しい状況では日本から研究が自由にできる国への頭脳流出の恐れもある。食料自給率(40%)が低い日本は、もっと戦略的に遺伝子組み換え作物の利用を考える必要があるのではないか」と話している。
日本では環境や食品としての安全性を考えて栽培等を禁止している地域もある。ただ、農家の減少、物価高・原油高、自給率30%台突入など生産能力増強と遺伝子組み換え作物の使用許可で板挟み状態にもなっている。
実際、遺伝子組み換え食品を食べたところでどんな影響が出るのか?どんな環境被害が引き起こされるのか?という点については「厚生労働省医薬食品局食品安全部 遺伝子組換え食品Q&A」にて見解か確認出来る。
ここでポイント。
遺伝子組換え作物(GM作物)の有効性、必要性、危険性モロモロは兎も角、現時点で我々の口に入ってる。日本国内での栽培や使用は、パっと見では「見合わせている」ような感じだが、
遺伝子組み換え作物、事実上の勝利 日経BP社より
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071214/143127/
(前略) しかし、その後5年も経たないうちに、モンサントはすくすくと育った。昨年の売上高は85億ドルで、純利益は44%増の9億9300万ドル。株価は12月5日の終値が104.81ドルで、グラント氏の就任後1000%以上も上昇している。株価収益率は58.6と、米グーグル(GOOG)を約2ポイント上回る。
その背後では、モンサントが粛々と遺伝子組み換え食品の是非を巡る論争の流れを変えていたのである。
遺伝子組み換え作物への反対の声はいまだに根強いが、栽培農家の数は世界中で増えている。これは不思議でも何でもない。モンサントの種子には、害虫抵抗性と除草剤耐性の遺伝子が組み込まれている。そのため従来の種子よりはるかに育てやすく、費用も少なくて済むのだ。
米国産作物の半分以上は遺伝子組み換え作物だ。大豆はほぼ100%、トウモロコシは約70%である。中国、インド、ブラジルではほんの5年前まで遺伝子組み換え作物はほとんど栽培されていなかった。ところが、今、ブラジルでは内陸部の肥沃なマットグロッソ州から港へと遺伝子組み換え作物を運ぶための道路建設が間に合わないほどだ。中国とインドでは、遺伝子組み換え作物の作付け面積が昨年1700万エーカーを超えた。
この3つの国は現在、作付け面積で世界の上位6カ国に入っている。自然食品が空前のブームとなっている中、世界の農地面積の約7%では“究極の反自然食品”とも言うべき遺伝子組み換え作物が栽培されていることになる。「作付け面積が10億エーカーを超えた時、遺伝子組み換え作物は、仮説ではなく現実のものになる」とグラント氏は言う。
米国の作物の殆どは遺伝子組み換え作物を採用。つまり、輸入食材を使った食品企業であれば少なからず遺伝子組み換え作物を含んだ製品を販売している可能性は非常に高い。自給率が異常に低い日本では、ディスカウントストア、コンビニ、その他外食店舗などへは輸入食材をほぼ確実に使用している。
さらに
「厚生労働省医薬局食品保健部 遺伝子組換え食品に関する表示について」、によれば
・食品中において、組換えDNA及びこれにより生成したたんぱく質が除去、分解されているもの
例:醤油、大豆油、コーン油、コーンフレーク、マッシュポテト等
遺伝子組換え食品か否かが技術的に検証困難であることや、組換えDNA及びたんぱく質が除去、分解されている場合まで表示させる必要性があるかという考え方もあることから、当面JAS法と同様の整理で義務表示としないこととする。
・主な原材料となっていないもの 含有量がごく少量な場合まで表示を義務づけることは現実的でなく、何らかの線引きが必要であるが、当面JAS法と同様の整理で、全原材料中重量が上位3品目以内で、かつ、食品中に占める重量が5%以上のものに限り義務表示とする。
5%未満であれば表示義務は無い。
また、食品衛生法施行規則第5条第15項で規定する「意図せざる組換えDNA技術応用作物又は非組換えDNA技術応用作物の一定の混入」として大豆及びトウモロコシについての混入率5%を許容している。
「この大豆は遺伝子組み換えで食材ではありません!」というキャッチコピーはよく見るが、、果たして?
「高い」という表現、高、多い、豊富、たっぷり…
「低い」という表現、低、ひかえめ、少、ライト…
「含む」という表現、源、供給、含む、入り、含有、使用…
「含まない」という表現、無、ゼロ、ノン、フリー…
これらは国が定める条件を満たしている必要がある。下記の表はパンフレットのうち「高い」と「含む」の表現についての基準値。
健康増進法第31条 福祉保健局健康安全室健康安全課のパンフレットより
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/hoei_016/hoei_16b.html
化学肥料などを使わず有機的に栽培され、古典的な農業への回帰を示した物として1940年代前半、欧米で使われ出した物。1999年7月までは日本国内でも「有機食品」に対して明確な定義は無かったが、それけ以後は「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」が一部改正され、「有機食品」の基準が設けられた。
下記は農林水産省、有機食品の検査認証制度より
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
有機農産物
・種まき又は植え付け前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用していない田畑で栽培する。
・栽培期間中も禁止された農薬、化学肥料は使用しない。
・遺伝子組換え技術を使用しない。有機畜産物
・飼料は主に有機の飼料を与える。
・野外への放牧など、ストレスを与えずに飼育する。
・抗生物質等を病気の予防目的で使用しない。
・遺伝子組換え技術を使用しない。有機加工食品
・化学的に合成された食品添加物や薬剤の使用は極力避ける。
・原材料は、水と食塩を除いて、95%以上が有機食品である。
・遺伝子組換え技術を使用しない。この有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、その結果、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。
この「有機JASマーク」がない農産物と農産物加工食品に、「有機」、「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。
有機食品の登録認定機関も国の機関(財団法人・社団法人)、民間企業、特定非営利活動法人の各組織が割り当てられている。
特定非営利活動法人 日本オーガニック アンド ナチュラルフーズ協会 http://www.jona-japan.org/
財団法人日本食品分析センター http://www.jfrl.or.jp/
<クローン家畜>米FDAが最終報告 事実上の「安全宣言」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080116-00000004-mai-int
【ワシントン和田浩明】米食品医薬品局(FDA)は15日、体細胞クローン家畜や、その子孫の肉や乳製品などの食品としての安全性評価に関する最終報告書を公表した。牛、豚、ヤギでは「食品としての危険性を示すデータは確認できなかった」と結論づけ、事実上の「安全宣言」を出した。羊では「リスクを判断する十分な情報がない」とした。
報告書は968ページ。体細胞クローン技術で生産された肉や乳の食品としての安全性について、通常の方法で生まれた家畜と変わらないと判断した。家畜へのリスクは、胎児期から成長後まで5段階で分析。牛と羊ではクローン技術を使用した場合に胎児の病気や死産が増えるという。
報告書はクローン家畜から製造された食品の販売の可否に関するFDAとしての判断には明確に言及していない。一方で、「合法的販売は既存の米法規を満たす必要がある」とも明言しており、最終的な市場流通を想定していることがうかがわれる。
FDAの判断について消費者団体などからは「より慎重な安全性評価が必要だ」との批判も出ている。米メディアによると、販売阻止のため法的措置を検討している団体もある。
クローン技術を使えば、優良な家畜を大量生産や、ヒトの成長ホルモンなどを牛乳と一緒に分泌させるような動物工場を立ち上げる事が可能になり、動物研究が進めば「ヒトのクローン」までもが視野に入るとされている。
外国生まれ、日本育ちは「国産牛」でいいのか? 〜おかしい「食品表示」の真実
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080107-00000020-omn-soci
これまでに、雪印食品に端を発した牛肉偽装事件(2001年に雪印食品が国外産の牛肉を国内産と偽り、国内産牛肉として農林水産省に買い取り費用を不正請求した事件)が起き、今年は北海道苫小牧市の食肉製造加工会社「ミートホープ」による牛ミンチ偽装事件が起きた。
私たち消費者は、店頭に並んでいる牛肉の詳細や履歴を、それほど深くまで追究することは出来ない。トレーサビリティ(生産履歴)の導入が進んだとはいえ、その導入には莫大なコストがかかり、廉価な牛肉にまですべてに対応することは不可能だ。
それ以前に、食(牛肉に限らず)の安全を担う食品産業は、高い倫理性を持って業務を行うべきなのだ。
牛肉については、これまでもさまざまな問題を引き起こしてきた。意外に知られていないのが、食品表示の規格である。「国産牛」と聞けば、誰もが日本で生まれ、日本で育った牛だと思うだろう。しかし、現在のJAS法では、最も長く飼養されたところが日本であった場合、「国産牛」と認定を受けることが出来る。
オーストラリアは、11年ほど前から「オーストラリア産松阪牛」を生産しており、肥育用子牛として、また肥育した成牛を肉にして、日本に輸出している。松阪牛は、黒毛和牛種のトップブランドとして高級肉として有名である。
オーストラリアは、黒毛和牛の飼育に適した環境にあり、オーストラリア産の黒毛和牛の生産が拡大すると予想されている。
同時に、カナダやアメリカなどの牛肉主産地でも、和牛の生産が広まりつつある。生産コストは、日本国内の10分の1と圧倒的に低い。当然、純粋種を基にしているのでどこで育てようが肉の品質、味は変らない。
「和牛は、日本国内でしか生産できない」という神話は、崩れているのだ。オーストラリアだけでなく世界のどこでも松阪牛が育ち、格安の価格で世界中に拡大すると、日本の和牛生産者は壊滅的な打撃を受けることになる。
これと同様のことは、国内でも起きている。例えば「神戸牛」の場合、神戸の畜産業者が「県外で育った牛」を吟味して選び、「鹿児島県」で肥育、「神戸牛」のブランドが冠せられても違法ではないのだ。仮に青森県産の牛が、神戸近郊の農場で肥育されれば、「青森県産神戸牛」となるわけだ。
この矛盾は、農政ジャーナリストの横田哲治氏が『牛肉が消える!』(日経BP社刊)などで主張してきたが、世論ではまったく無視されてきた。
しかし、消費者たちの牛肉への関心が高まり、こうした食品表示の仕組みについては、その是非を問う声も多くなった。そして、消費者本位の表示に努めるべく、改善に向けての取り組みも行われている。
消費者の食生活の安全は、政府や農業者が厳しく守るという姿勢を、高いレベルで貫かなければいけない。